「G」 > vol.4
MUSICA
 暑かったですね、今年の夏は。
 でも最近は海へ行くとすっかりクラゲに刺され、19時前に外が暗くなるという、もう秋の影がヒタヒタと迫っている今日この頃、皆様いかが御過ごしでしょうか。
 阿部義晴の世界観をつらつらと綴る連載WEBマガジン「阿部ちゃんと海」。3部作の中の2枚目『G』のリリースからしばし経ちましたが、皆さん聴き狂ってますか? もうご存知だと思いますが、我らが阿部ちゃんの音楽は、「ガムタイプ」ではなく「するめタイプ」です。聴けば聴く程、美味しい所が見つかりますので、くれぐれも聴き忘れのないよう、お願いしますね。
 では夏の始まりの始まりに行った、海辺のマイスタジオでのインタヴュー、4回目にして『G』編の最終回、行ってみましょう! 今回は限りなく番外編な辺りから始めさせてもらいます。

「ところで鹿野さんって、どうしてライターになったの?“ライター”って言うと違う? 鹿野さんってカテゴライズするの難しそうじゃない?」

■僕は記者になりたかったですよ。中学の卒業文集で、「僕は、早稲田大学の経済学部に入って新聞記者になります」って書いてありました。それは完全に、父親が会計士であったことの反動なんですよ。父親と違う職業に就きたいな。ならば数字の逆はイデオロギーだ、みたいな。だからそっちに行きたかった。で、高校出てから2年間くらい、ぶらぶらしながら金貯めて、明治大学の夜学行ったんですよ。別に頑張って勉強するタイプじゃないから、夜学行きながらずっとバンドやってたんです。(スタジオの)横でレピッシュやってましたよ。

「本当? 担当は何?」

■ベース。イギリスにジャパンっていうバンドいたじゃないですか。高校生の時に、そのベースのミック・カーンが最高にカッコよく見えて、ミック・カーンと同じので安いベースが売ってたから初めてのベースそれ買って。それで練習しに行ったら、「お前、チューニングが合ってねぇよ」って言うわけですよ。でもチューニング合わせたら合ってるから、「お前らの耳がおかしんだよ」って言ったんだけど、でもやっぱり俺のベースの音や音程がおかしいんですよ。そしたら友達が気づいて、「鹿野、お前のベース、フレッドレスじゃん」って言われて。

「へへへへへへへへへ」

■ほら、フレットレスベースって、ウッドベースと同じで、ポイントが狭いから音程合わすの素人には難しいじゃないですか。もう泣きました。で、友達のお兄ちゃんがESPにいたからフレッド入れてもらいましたよ。っていうベーシストです。

「面白いねぇ。(フレッドを)入れるほうが大変だったんじゃない」

■そうなんですよ。まぁ話を戻すと、大した勉強はしてなかったんだけどマスコミには行きたくて、はったりで就活頑張ってたら、入れちゃったんですよ。それが扶桑社っていうところで、『週刊SPA!』やってるところですよ。

「読んだことないですけど知ってますよ」

■で、かなり燃えて入ったんですけど、当時のあの会社って出版社というよりテレビ局みたいにしか思えなくて。上役もみんなフジテレビから出向してきた人だったから、当時ちょうど光GENJIが出てきた時で、光GENJIをどう売り出すか?っていうフジテレビの戦略に乗ることがその出版社の役割のすべてだみたいにしか見えなくて。

「それはなかなかシンドい感じだね」

■挙句の果てには、半年後に専務に、「鹿野、お前を10年間かけて日本一の広告営業マンにしてやろう」って言われたんです。その瞬間に、明日から転職しようって決めて。そもそも僕、『SWITCH』っていう雑誌が作りたくて扶桑社に入りたかったんですよ。今は違うんですけど、当時は『SWITCH』の裏側を見ると「扶桑社」って書いてあったんです。それで最終面接で、「鹿野君、君は何がやりたいんだよ?」って言われて、「『SWITCH』がやりたい」って言ったら、「『SWITCH』はうちで作ってないよ、売ってるだけだ」と言われてチャンチャンみたいな。だから、もう一度次の会社で『SWITCH』みたいな本を作りたいなと思ってたら、『SWITCH』みたいな本が創刊されてたんですよ。それが、『CUT』っていう本だったんです。で、ロッキング・オン社でも、「『CUT』やりたいです。『SWITCH』をやりたくて扶桑社に入って半年鍛えてきました。『CUT』行きます!」って言ったら、『ROCKIN ON JAPAN』になっちゃって(笑)。でも僕、言ったんですよ?「鹿野くんは日本の音楽はどういうの聴くのか?」って聞かれたから、「僕は、暗黒大陸JAGATARAと米米クラブしか知らないです。その代わり、洋楽はいろいろ知ってます」って言ったのにそうなっちゃった。ユニコーン的には『服部』の頃の話です。

「へぇ~。なるほどねぇ」

■俺が入った後のロッキングオンジャパン誌の2号目が、(奥田)民生さんが表紙でしたよ。変なラスタパーマ当ててた頃。で、雑誌作り出した1年後くらいに、阿部さんが雑誌の中で激白してましたよ、「民生くんの考えてる事、音楽の作り方はわからん!」とか。ふたりで喧嘩してるインタヴューが載ってましたよ。面白い人だなぁって思いました。

「はははははははははは、あれはほんとに失礼しました。そっかぁ~、やっぱり面白いんだね、鹿野さんは。鹿野さんのインタヴューはいつも印象に残るよ!」

■あと実は俺、エレクトーンの先生の免許も持ってる。小学校5年生の時にエレクトーンの先生の免許取れちゃったんですよ。

「それは凄いわ。そういうところがイチイチ形成してるんだよね。どうやったら鹿野さんみたいな人間ができ上がるんだろう?って知りたがるわけだけど、元々面白いことやってんだよね」

■っていうか阿部さん、このインタヴュー、最後のオチつけてないよ!

「どうする? オチいる?」

■まあいるでしょ。では最後に。いつくらいに『B』は出るんですか?

「『G』は前倒しで録ってるから、『B』は――」

■なんか口がどんどん閉じて行きますけど。本当に前倒しなの?

「前倒しだよ! だって、これ録る前に『B』の曲1曲録ってるんだから、前倒しもいいところよ」

■本当に録ってるんだったら、とっとと出しちゃえばいいじゃないですか。

「それはダメなんですよ。だって残りの曲は、まだ貝殻の状態なんだから。まぁだから、前倒しと言えども、ちょっと作ってみないとわかんないね(笑)」

■でも僕がこの仕事をいただいた時に、『R』『G』『B』と三連チャンでリズミカルにリリースしていきますから、阿部さん自身から発信されるメディア的なものができたらいいなっていうお話で。僕的に1回目は楽しい話をさせていただいて、みんなに読んでいただきたいことがたくさんあったから、連載にしましょうという話にさせていただいて、3回にさせていただいたんです。今日も、これで4回はいけますよ。でも4回終わった頃には『G』出したいじゃないですか。

「…………くっ」

■くっじゃない。

「…………大丈夫です! あんまり期日は延ばさないんで…………ぶっちゃけ、『G』を作り終えたあと3枚目にいく前に、出してしまった感が結構あったんですよ」

■『R』と『G』の8曲で?

「うん。割と作業を長く続けたので、1回休息が欲しかったんですよね。……どっかに一人旅に行くとか」

■……阿部さん、俺聞いてますよ。この取材する直前までオフが1ヶ月くらいあったって。

「……………………………」

スタッフ「はい。5月中は休みでした」

「そうそうそう~」

■そうそうじゃないでしょ。

「だからその間に海外に行ったりとか――そういう話よ。ちょっと休止して、(貝殻を)拾いにいかなきゃいけないなと思ってたの」

■それはもう行って来たんでしょ。

「いやいや。そうするつもりだったんだけど、ひとりで旅行行っても寂しいし行きたいところも別にねぇしなと思って。家にいると結構暇だったから、気がついたらずっとスタジオにいたのよ」

■お、じゃあずっと作ってたっていうこと?

「そう、そこで1曲録り終えたっていうことで1曲があるんですよ」

■素晴らしい。さすが阿部さんだわ。

「だからみんなにオフだと思われていた間に実は1曲録ってたっていうこと。前倒しでね!だからね、鹿野さん、今は自分的には余裕がありますね。まだ有給使ってないぞ、溜まってるんだっていう安心感が、自分の作業を進めてくれるんじゃないかなと思います」

■休みなんて取らないほうがいいですよ。休んでる間に、『R』『G』『B』っていうコンセプト忘れちゃうかもしれないじゃん。

「あのね、忘れかけてた! ハハハハハハ。『R』のインタヴューの時はすでに『G』に入ってたので、(『R』のことを)全然覚えてないのよ。だから何回も確認した。(企画のスパンが)長いから忘れるよね。ただ、自分で納得しないものはイヤなんで時間がかかるっていう。あとは体力の問題があるでしょ。集中力がいるんで、あまり長い作業ができないんですよね。…………みたいなね?」

■くくくくくく。

「1ヶ月2ヶ月遅れたところで、世の中的には変わんないんだよ? 上がりがいいほうがいいんだよ?」

■いや、期日とクオリティ両方でしょ。両方、今でしょ。まぁ、話半分に聞いておいて、期待しておきます。

「ありがとうございます。あぁ、どういうのできるんだろ……」

■今日は、ほとんど手作りで作ったという快適なスタジオに来させていただいて、このハンドメイドミュージックがどう作られているのかっていう魔法も全部わかりました。“SUN SET SUN”を作った海辺のハンバーガーショップにも一緒に行かさせてもらって、その見晴らしのよさと自分の心の狭さっていうものを僕は対比させていただきながら、本当にいろんなことを学ばせてもらいました。

「何をおっしゃいますか(笑)。とんでもないです」

■あとは、次の作品がバーンと出てきてくれればそれだけでバッチリです。

「バーンとねぇ……これがねぇ……」

■紅葉が赤くなる前とかに、聴きてぇな。

「……早くない? これ(『G』のリリースは)8月でしょ? だって8月の終わりはユニコーンに時間取られるでしょ(手島50祭)?」

■あぁ、では現実的なラインで11月くらいに。

「じゃあそれ目処で行きましょうよ!!」

■……今、スタッフが苦笑してましたよ。

「でも………………今年中に!」

■いただきました、今年中。

「何とかしますよ、大切な作品ですから!」


 というわけで、脱線甚だしいインタヴューをお送りしましたが、これだけじゃ皆さん納得しないだろうと。このままじゃ夏も終わらないんじゃないかと思いまして、阿部ちゃんに真夏のメールインタヴューを試みましたよ。何となく逃げられるかなと思いきや、割とさくっとお返事が来まして。
 むむ、これはレコーディングが上手くいってるからなのか、もしくは煮詰まってるから他のいろいろに逃げまくっているから、このアンケートも返事が来たのか、その辺りの判断難しい阿部ちゃんですが、とにもかくにも、貴重なアンケートをお楽しみください。
 そしてなるべく秋の間に、3部作最終作『B』編を開始したいと思ってますよ。
 またその時まで~~~しばしの別れを!

★どうもご無沙汰です。阿部さんの夏はどんな調子ですか?

阿部:作業的には歌詞を書いている状況で、うろうろしているのですが、
えー、暑いので、あー、とにかく暑いので、
なかなかねー(笑)これがねー(笑)。
今年は夏を海で過ごせているので、肌は黒くなっています。
髪も伸びています。
毎年恒例で鎌倉花火大会では、友人達と過ごせてなかなか良い時間でした。

★僕は夏になるとまずビールとサバの水煮の缶詰で腹を満たし、その後でデザートのようにそうめんを食い、そのそうめんを食べるとビールを沢山呑んだ事を忘れるので、そこから肉を食べたりするという、変則的な「夏メシ」をするんですが、阿部さんが夏に食する食べ物って一体なんですか?

阿部:凄いっすね!さすが何とか大会に出た事があるだけあって!
私はクリームソーダが大好きです。
もうそれは毎食後でも食べたい位です!
でも先日の健康診断の結果で悪玉コレステロールがどうたらで、なにやらそれが原因に上がってしまいました(涙)。
夏になるとゴーヤチャンプルを良く食べます。
食欲が無くなってもそれだけは何故か食べられます。

★最近は「半沢直樹」とか「ウーマン」とか、ドラマが大変好調なテレビですが、阿部さんはお気に入りのテレビ番組があったりするんでしょうか? もしあったら、その理由もおしえてください。

阿部:私は基本テレビを観るという習慣が昔からありません。
現在もブラウン管のTVが現役です(笑)
ですが最近、ネットで映画やドラマを観る事が出来るので、それで観る機会が増えていますよ!
ですから著作の古い物ばかりです。
最近観たのは「24」「トップギア(BBCの車紹介もの)」「ルパン三世(2世代)」「ブルースリー全般」「探偵物語」………かな。

★ところで、ソロも2枚出ましたね。ファンからの反響とかどうですか?

阿部:ファンの反響が届いていませんので、さっぱり分かりません。
ただ私的には、自分の思った事をやり続ける事が、ファンの方の要望と勝手に考えておりますので、問題無くそのまま進んでいます。

★阿部さんの中で2枚を世に放ってみて、あらためて感じていることが、このソロワークに対してあると思うんです。どんな感じでしょうか?

阿部:このEP形式が今の私に合っているような気がしています。
じっくりと曲と向き合えます。
フルアルバムは聴かない曲とかが出るしー。

★あ、そうそう。次作『B』の調子はどうですか? 何曲ぐらい、どんな曲が出来てるんですか?

阿部:今、仕上げに迷っています。
一応、歌詞無しで曲だけは録音済みですが、もうひとチャレンジで何曲かしてみようという感じになっています。
でも暑いんで、わかりません。

★『B』の中には、このシリーズの中で最初の頃からあたためていた決定版的な曲が入っているんですよね? それへの期待を煽るようなことを教えて下さいよ。

阿部:実はその曲を『B』から外そうかと迷っています。
すると、ある種の軸のような曲を外す事になるので、これは考え時ですよ!

★そろそろこの連載取材のためにお逢いしたいですよ。今度の取材はどこでやりましょうかね? 阿部さんはRとGとBという3つを作った事によって、ミュージシャンとして高い頂を登ったと思うんです。なので、ここは一つ世界遺産の富士山のてっぺんで、取材でもしたいものですね!

阿部:ちょ!マジですか??
五合目なら良いです。車で行けるんで(笑)。
あー、良いかもしれませんねー。


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