「G」 > vol.3
MUSICA
シングル『R』で、久しぶりのソロ活動を再開させた阿部ちゃんこと阿部義晴。そこに溢れた、生きるリアリズムと夢見るファンタジーに、あらためて阿部ちゃんの音楽の素晴らしさを体験出来た我らは幸せものですが、ならばその音楽の「脳みそ」とか「筋肉」とか「ちんこ」とか、それが何なのか? をじっくりインサイダーしちゃうのが、この「阿部ちゃんと海」という祝ソロ活動再開記念連載であります。
今回は『R』編の三回目にして最終回。過去二回では何故今、ソロが始まったのか? そして阿部ちゃんにとって大切な「音楽空間」は何なのか?を聞いて来たわけですが、今回はずばり『R』に続くものが何なのか? そして阿部ちゃんがこのソロワークでシーンに投石したいものが何なのか? を、一気に駆け巡っちゃいますよ。
ではいきまSHOW。

■阿部さん、1曲目のインストの"RGBOP"、この「RGB」って一体何なんですか?

「3、4曲くらいのシングルだったら、自分のペース的にも3ヶ月ごとにターンで出せるだろうと思ったんですよ。で、トータルでアルバムの分量を作るとしたら、4曲を3つかと思って。3つに関連性のある名前をつけられたら面白いなという発想があったんです。
……そういうこと考えてるときかな、海辺でボブ・マーリーを聴いてたんですよ。ボブ・マーリーのポスターって、赤・黄・緑っていうラスタカラーで、これかわいいなと思って。で、それってポリスの『シンクロニシティー』(ジャケットに青、黄、赤が印象的に配色されている)にも似てるなって思って、ポリスも聴き始めたんですけど(笑)。こういうの結構ポリスさんも使ってらっしゃるんだなぁ、みたいな(笑)。色光の三原色ってあるでしょ。ジャケットの打ち合わせをしていた時に、デザイナーさんと『3つで関連のあるものってなんだろう?』っていう話をしてたら、RGBというものが色の世界にはあって、それを合わせると白になったり黒になったり面白い変化をするっていうことがひとつ引っ掛かってたんです。他にも3つあるものは何か?って探したら、○と△と□でとかも浮かんでね。○はアースで、△はトライアングルで、□はグラウンドで、っていうことを考えたんです。そこから派生して、"R"の『Round』、"G"の『Ground』、"B"の『Background』、というタイトルにそれぞれしようかなと考えたんですよ。それ、(文字が)足されていって面白いでしょ? なんだけど、やっぱりアイコンとしてひとつドンっとあったほうが面白いと思って、『R』『G』『B』の3つで行こうと思ったんですよ」

■実に面白いっすね。じゃあ次に『G』があって、『B』がその次に来ると。これはもう完成してるんですよね? テーマが決まっているわけだから。

「してない(笑)」

■してないんだ(笑)。今、3ヶ月置きのリリースって言ったじゃないですか。3ヶ月ってすぐに過ぎちゃうよ。

「うん。最初は3ヶ月って区切ったんだけど無理だったの。だから、4ヶ月かかったの」

■あははははは。

「いきなり延びました(笑)。で、4ヶ月置きになった。でも、それで全部で1年だからちょうどいいじゃない」

■でも次の『G』くらいは、かなりもうできてる?

「うん、『G』はほぼ完成してる」

■よかったよかった。『B』は全然見えてない?

「いや、全然見えてなくはない。ただモヤモヤっと見えてるだけだけど」

■それはね、俗に言う、「リリースの時期はどうなるかわかんない」っていうやつですよね?(笑)。

「そうね(笑)」

■アーティストの方の世界は底知れず深いですから、曲を録り始めるくらいか歌詞ができるくらいまでにならないと、平気でそこから2年かかることがあると私は何度も勉強させていただいていますから。

「そうでしたか。そりゃね、本当に大変ですよね」

■人事じゃないですか(笑)。

「はははは。でも前作の『四ツ葉の森』は4年かかってますからね。それに比べたら速いですよ。なんでかって言うと、これは表に向いてるから『こういうもんだ』って割り切れるというか。明確っちゃ明確なんですよね。自分の中と向き合うっていう雲を掴むような話じゃないんで」

■表を向いてるっていうのは、ユニコーンの再結成の後で掴んだ人とのコミュニケーションを、今回のソロでも取りたいっていうこともひとつあると思うし。

「そうですね」

■それ以外にも、いろんな問題点を抱えているこの国とこの国の音楽っていうものに対して、自分の音楽によってみんなにいいイメージを与えたいという気持ちがあると思います。あとは、震災から2年経った時期に、「ちゃんと前を向いている」ということを音楽的に表現するということが大事だとか、いろんな要素が入ってると思うんです。阿部さんの中では、その辺はどういう気持ちが込められていますか?

「…………」

■…………ヤバい、まさかまた。

「(笑)いやいやいやいやいや」

■…………また何も言わずに、今のを自分の言葉として使っちゃう?

「使っちゃうよ~」

■使っちゃうよ~、じゃないですよっ!

「素晴らしいですよ! 餅屋は餅屋っていうかさ~。もう思ってる事が想像以上の言葉になって返ってくるんだから、使っちゃうよぉ」

■僕が喋ってる最中から、「あ、それでいこ」って顔してるからね、阿部さん。

「(笑)ちょっと話外れるんだけど、作ってるあいだに感じたことがあったんだよな。(リリースの日が)近くなればなるほど、リスナーが大事だなっていうことを痛感しましたね。それはユニコーンを再結成した時にも思ってたんだけど、よりリスナーの底上げをしなきゃいけないと思うね。鹿野さん、学校やってらっしゃるってさっき聞いたんですけど(鹿野が主宰する音楽ジャーナリスト養成学校『音小屋』のこと)、それは凄く素晴らしいことだと思った。育てていくって言うとおこがましいですけど、底上げということを少し意識していかないとどうしてもリスナーがいいものをチョイスできなくなっちゃうんですよ。いいものじゃないものが売れ始めると、それに群がる人が出てきて厄介なことになるんですよね。それは今、現状としてある。そうなるとまた、どんどんつまんないことになるでしょ? だからそこが凄く大事だなと思ったんですよね。それともうひとつ、若い子が音楽を作る場合、その子達は何を大事に作ればいいのかな?って思ったりしたんですよ。で結局は、楽曲をよくする以外のことをミュージシャンはやらなくていいんじゃないかって思ったんですよね」

■要するに、音楽家は真っ当に音楽家であるべきだということですね。

「うんうん。一番それがミュージシャンにとっての説得力になるというか。兎角、今はいろんな格好をしてみたりとか、まぁ自分も平気でピカチュウの衣装を着たりしてますけれども――」

■ははははは、喜々としてしてやってますけど。時代的には、音楽がどう商売になるかっていうことの転換期が完全に来ていて。

「転換期ですよね」

■僕も阿部さんもそうですけど、80年代の終わりくらいからこうやって音楽業界に入ってきて、その頃から日本のロックがビジネスとして確立していった。つまり、みんなの頭がよくなっていった20年間があったと思うんですけど、頭がよくなったっていうことを見せることが頭が悪いことになってきたのが、この何年間かなんじゃないかなと思っていて。

「あ、それはありますね」

■根源的に、音楽はなんであるのか?ということを、もう1回考えていくことがビジネスとしても一番大事なのかもしれないなと思いますよね。

「兎角日本の音楽は、やっぱり歴史的に見てもメーカーに直属してるという歴史があるので、なかなかどうなんでしょう?となりますよね。ただ、そこら辺も覆り始めてますからね。テレビ業界もメディア業界もそうですけど」

■ですよね。家電の販促のための音楽なんていう時代は最早とっくの昔に終わっちゃいましたしね。

「だから、音楽は音楽として独立するべき――なんて(笑)」

■なんて、って。

「いやいや。でも、そしたら素晴らしいじゃないですか! もの凄く健全ですよ。それは音楽を進歩させる、凄く健全なことだよね。それで切磋琢磨できたらなんて楽しいんだろうって思う。そうすれば有意義な音楽の話ができるわけでしょう?」

■そして有意義な音楽の聴き方もできる。

「できる。モノが増えることももちろん大事なことだけど、常々思うのは、音楽は心の資産であるべきだっていうことですから。そしたらなんか豊かな人生を送れそうな気がしないですか? と、今回作っていて思いましたよ。ちなみに1曲目("SUN SET SUN")は、今までの流れで作ってるんで自然に出ました。で、"Round&High"は、新しい方向に行ったらどうなるんだろうと思って作った新しいポップなんで、ドラムを使ってないんですよ。この曲で新しい展開を見せられたと思う。で、もう1個のやつ("チャイム")は、メロディを重視したらどうなるんだろうと思って作ってますね」

■ご自分の中では音楽としてちゃんと遊べてるということですね。

「そうですね、遊べましたね。オープニングはオープニングとしてあればいいなと思って作ったんですけど」

■じゃあ近いうちに、『G』で第二弾のインタヴューできるんですか?

「できますよ! こないだ歌入れ終わったから」

■お。夏くらいにリリースまで行っちゃいたい?

「リリースはいつだ?」

スタッフ「8月で考えてます」

「夏だよ! 来ちゃうよ~、コレ!」

■海見て作った曲もあるだろうから、夏に出せたらそこは説得力バッチリですね。次は遅れないでくださいよ。"残暑"はやめましょうね。

「残暑やめましょう(笑)。大丈夫です、残暑お断りね(笑)。次は是非、一緒に海行って取材しましょうよ!!」


というわけで、2013年春に新たな始まった「阿部ちゃんと海」はここで終わりではなく、『G』編に続きますよ。
今度は遂に、阿部義晴総本部であるスタジオでのインタヴューを予定しています。次なるシングルの『G』は、GROUNDのG。「地面」と名付けられた音楽で、我らが阿部ちゃんの音楽はどこに「着地」するのか? そして阿部義晴が音楽を記録し記憶する意味は今、どこにあるのか? はてまた、本当に『G』は出来上がるのか? 出来上がっているのか?
私鹿野は5月22日現在、まだその『G』の完成やその存在を確認出来ておりません。
必ずや近いうちにそれを聴き、そして梅雨に入る前に押し掛けインタヴューをし、再びここで第二ラウンドを開始しますよ。
というか、インタヴューしたらまずはここで報告しますわ。
というわけで、たま~にふらっと寄ってみて下さい。
それではまた!

「R」
2013年5月8日 ON SALE
1.RGBOP
2.SUN SET SUN
3.Round & High
4.チャイム
¥2,100(incl. tax)

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"SUN SET SUN" PV